【実測データあり】「Godox QT1200IIIM」色温度安定モードと閃光速度優先モードを比較
Godoxの1200Wsスタジオストロボ「QT1200IIIM」には、色の安定性を重視する「色温度安定モード」と、短い閃光時間を重視する「閃光速度優先モード」が搭載されています。
今回はこの2つのモードについて、出力を1/1から1/256まで変化させながら、
- 色温度(CCT)
- Ra
- R9
- 閃光時間(t0.1)
をそれぞれ3回ずつ実測しました。
実際に測定してみると、低出力になるほど2つのモードの性格がはっきり分かれる結果となりました。
Godox QT1200IIIMについて
QT1200IIIMは、Godox QTIIIシリーズの1200Wsモデルです。
今回の測定に関係する主なメーカー公称値は以下の通りです。
| 最大出力 | 1200Ws |
|---|---|
| 調光範囲 | 1/1~1/256 |
| 色温度安定モード | 5600±200K |
| 閃光速度優先モード | 5400~9500K |
| t0.1 色温度安定モード | 1/300~1/6090秒 |
| t0.1 閃光速度優先モード | 1/300~1/23400秒 |
| リサイクルタイム(200V時) | 約0.01~0.9秒 |
| HSS | 最大1/8000秒 |

日本のAC100Vではリサイクルタイムに注意
メーカー公称のリサイクルタイムは最短約0.01秒、フル発光時でも約0.9秒となっています。
ただし、この数値は海外の200V前後の電源環境での値で、日本のAC100V環境ではリサイクルタイムが長くなります。
日本のAC100V環境でQT1200IIIMをテストした際には、フル発光からのリサイクルに約2秒かかりました。
1200Wsという大出力ストロボということもあり、日本国内で使用する場合はメーカー公称の「0.9秒」ではなく、フル発光では実測約2秒程度を目安に考えた方が実際の使用感に近いと思います。
発光管と色温度調整用ガラスグローブ
発光部にはリング状のキセノン発光管が採用されています。
また、発光管を覆うガラスグローブには、色温度を調整するためにアンバー(琥珀色)が入っています。
写真ではガラスが黄ばんで見えますが、これは劣化や熱による変色ではなく、正常な仕様です。
今回の測定では、この純正ガラスグローブを装着した状態で計測しています。


背面操作盤
背面には出力や各種設定を操作するコントロールパネルを搭載しています。
今回比較する色温度安定モードと閃光速度優先モードは、カスタムファンクションから切り替え可能です。
なお、背面液晶に表示される閃光時間はメーカー側の参考表示であり、本記事の閃光時間はSekonic L-858Dで実測したt0.1の値を使用しています。

測定条件
| 使用ストロボ | Godox QT1200IIIM |
|---|---|
| 測定日 | 2026年9月28日 |
| 測定器 | SEKONIC C-700 / L-858D |
| リフレクター | ノーマルリフレクター |
| 電源 | AC |
| 測定回数 | 各出力3回 |
| 閃光時間 | t0.1 |
色温度・Ra・R9はC-700、閃光時間はL-858Dで測定しています。
以下では各出力3回の測定値から平均値を算出して比較します。
色温度安定モード
| 出力 | CCT平均 | Ra平均 | R9平均 | t0.1平均 |
|---|---|---|---|---|
| 1/1 | 5925K | 99.1 | 99.1 | 1/316秒 |
| 1/2 | 5988K | 99.0 | 99.2 | 1/768秒 |
| 1/4 | 5994K | 98.9 | 98.5 | 1/1247秒 |
| 1/8 | 5962K | 98.7 | 97.9 | 1/1880秒 |
| 1/16 | 5975K | 98.6 | 97.4 | 1/2500秒 |
| 1/32 | 6019K | 98.8 | 97.9 | 1/3757秒 |
| 1/64 | 6091K | 98.9 | 98.7 | 1/4647秒 |
| 1/128 | 6105K | 99.0 | 99.5 | 1/5723秒 |
| 1/256 | 6229K | 99.0 | 98.1 | 1/6803秒 |
発光ごとの再現性は非常に高い
色温度安定モードでは、1/1の平均約5925Kから1/32の約6019Kまで、おおむね6000K前後を維持しました。
特に注目したいのが発光ごとのばらつきです。
1/8では5964K、5963K、5960Kで最大差4K。
1/32でも6025K、6014K、6018Kで最大差11Kでした。
実際の撮影ではほとんど問題にならない程度の差で、発光ごとの再現性は非常に高いと言えます。
一方、低出力になるにつれてCCTは少し上昇し、1/64で約6091K、1/128で約6105K、1/256では約6229Kとなりました。
メーカー公称値より色温度は高め
Godoxの公称値では、色温度安定モードは5600±200Kとなっています。
今回の個体では全体的にそれより高く、フル発光でも平均約5925K、1/256では約6229Kとなりました。
したがって今回の測定結果を見る限り、「5600K付近を維持する」というよりも、発光ごとの色温度変動を抑える効果の方が強く感じられる結果となっています。
ただし測定器、リフレクター、測定距離、個体差などによって測定値は変化するため、メーカー公称値との単純な優劣比較ではなく、今回測定した個体・条件での結果として見てください。
Ra・R9は低出力まで安定
Raは全域でほぼ99前後。
R9についてもおおむね97~99台を維持しました。
1/256まで出力を下げても大きく崩れておらず、色温度だけでなく演色性も非常に安定しています。
人物、料理、商品など、色の再現性を重視する撮影では使いやすい特性です。
閃光速度優先モード
| 出力 | CCT平均 | Ra平均 | R9平均 | t0.1平均 |
|---|---|---|---|---|
| 1/1 | 5922K | 99.1 | 99.3 | 1/316秒 |
| 1/2 | 6200K | 99.6 | 97.9 | 1/1130秒 |
| 1/4 | 6376K | 99.6 | 98.0 | 1/2443秒 |
| 1/8 | 6585K | 99.5 | 96.9 | 1/4463秒 |
| 1/16 | 6790K | 99.0 | 95.0 | 1/7050秒 |
| 1/32 | 7281K | 97.8 | 90.7 | 1/9953秒 |
| 1/64 | 8153K | 96.0 | 82.7 | 1/11933秒 |
| 1/128 | 8734K | 94.2 | 74.7 | 1/18167秒 |
| 1/256 | 8858K | 94.2 | 74.4 | 1/22867秒 |
閃光速度優先モードでは色温度が大きく上昇
フル発光では色温度安定モードが約5925K、閃光速度優先モードが約5922K。
閃光時間についても両モードとも約1/316秒で、ほとんど違いがありません。
ところが出力を下げると大きな差が現れます。
閃光速度優先モードでは、
- 1/2:約6200K
- 1/8:約6585K
- 1/16:約6790K
- 1/32:約7281K
- 1/64:約8153K
と、低出力になるほど急激に色温度が上昇しました。
これは異常な挙動というわけではなく、Godoxの公式スペックでも、このモードでは色温度が5400~9500Kの範囲になるとされています。
つまり色温度を一定に保つことよりも、短い閃光時間を優先したモードです。
1/128・1/256では発光ごとの色温度も大きく変動
さらに興味深かったのが、1/128と1/256という極低出力域です。
1/128では、
8971K / 8117K / 9114K
となり、3回の測定で最大約1000Kもの差が発生しました。
1/256でも、
9132K / 8641K / 8800K
となり、発光ごとのばらつきが確認できます。
一方、1/64では8220K / 8168K / 8070Kで最大差150Kでした。
今回測定した個体では、1/64までは比較的まとまっているものの、1/128~1/256という極低出力域になると、単に色温度が高くなるだけではなく、発光ごとの色温度の再現性も低下する傾向が見られました。
メーカー公称でも閃光速度優先モードの色温度は5400~9500Kとかなり広い範囲になっています。
極端に短い閃光時間を得る領域では、色温度の絶対値だけでなく、発光ごとの安定性についても注意した方がよさそうです。
色温度だけでなく演色性も変化する
閃光速度優先モードでは、出力を下げるにつれて色温度が高くなるだけでなく、RaやR9にも変化が現れました。
1/8程度まではRa 99台を維持していますが、1/32で97.8、1/64で96.0、1/128~1/256では約94まで低下しています。
さらに変化が大きかったのが、赤色の再現性を示すR9です。
- 1/1:約99
- 1/16:約95
- 1/32:約91
- 1/64:約83
- 1/128:約75
- 1/256:約74
と、閃光時間が短くなるにつれて大きく低下しました。
なぜ閃光速度を上げると青くなり、R9が低下するのか
これは閃光速度優先モードの発光制御と関係していると考えられます。
キセノン管によるストロボ光は、発光している間ずっと完全に同じスペクトルで光っているわけではありません。発光開始から終了までの間にスペクトルが時間的に変化します。
一般的なコンデンサー放電式ストロボでは、発光の初期は比較的色温度が高く、発光後半になるにつれて色温度が低くなる傾向があります。
閃光速度優先モードでは、IGBT制御によって発光を途中で早く打ち切ることで閃光時間を短くしています。
つまり、通常なら発光後半に含まれる比較的赤みの強い光まで積算されるところを、その後半部分をカットしていることになります。
その結果、発光全体として見ると相対的に青い成分が強くなり、
色温度が高くなる → 赤色成分の相対的な割合が減る → R9が低下する
という変化が現れたと考えられます。
今回の測定でも、この傾向は非常に分かりやすく現れています。
フル発光ではCCT約5922K・R9約99・t0.1約1/316秒だったものが、1/256ではCCT約8858K・R9約74・t0.1約1/23000秒となりました。
つまりQT1200IIIMの閃光速度優先モードは、単純に「光量を小さくすると青くなる」のではなく、発光の後半を切り取ることで非常に短い閃光時間を得る代わりに、発光スペクトルのバランスも変化していると考えると理解しやすくなります。
そのため、色温度の変化だけならRAW現像時のホワイトバランスである程度補正できますが、R9の低下までホワイトバランスだけで元に戻すことはできません。
人物の肌、料理、赤系の商品など色再現を重視する撮影では、閃光速度優先モードの低出力域を使用する際に注意したいポイントです。
その代わり閃光時間は大幅に短くなる
閃光速度優先モード最大のメリットが閃光時間です。
| 出力 | 色温度安定モード | 閃光速度優先モード | 約何倍高速か |
|---|---|---|---|
| 1/1 | 1/316秒 | 1/316秒 | 1.0倍 |
| 1/2 | 1/768秒 | 1/1130秒 | 1.5倍 |
| 1/4 | 1/1247秒 | 1/2443秒 | 2.0倍 |
| 1/8 | 1/1880秒 | 1/4463秒 | 2.4倍 |
| 1/16 | 1/2500秒 | 1/7050秒 | 2.8倍 |
| 1/32 | 1/3757秒 | 1/9953秒 | 2.6倍 |
| 1/64 | 1/4647秒 | 1/11933秒 | 2.6倍 |
| 1/128 | 1/5723秒 | 1/18167秒 | 3.2倍 |
| 1/256 | 1/6803秒 | 1/22867秒 | 3.4倍 |
1/256では色温度安定モードの約1/6800秒に対して、閃光速度優先モードでは約1/23000秒。
約3.4倍短い発光時間となりました。
メーカー公称の最短値はt0.1=1/23400秒なので、今回の実測約1/22867秒はかなり近い値です。
一方、色温度安定モードのメーカー公称最短値は1/6090秒ですが、今回の1/256平均は約1/6803秒となりました。
閃光速度と色温度の変化を比較
ここまでの測定結果から、QT1200IIIMの2つのモードは、出力を下げたときの挙動がかなり異なることが分かりました。
色温度と閃光時間の変化をまとめてグラフにすると、その違いがより分かりやすくなります。

色温度安定モードでは、出力を下げても色温度の変化は比較的小さく、閃光時間は徐々に短くなっていきます。
今回の実測では、1/1で約5925K・t0.1約1/316秒、1/256では約6229K・t0.1約1/6800秒でした。
一方、閃光速度優先モードでは、出力を下げるほど閃光時間が急速に短くなると同時に、色温度も大きく上昇しています。
1/1では約5922K・t0.1約1/316秒と色温度安定モードとほぼ同じですが、1/32では約7281K・約1/10000秒、1/256では約8858K・約1/23000秒となりました。
特に1/32以降は、閃光時間の短縮と引き換えに色温度の変化がかなり大きくなっています。
また1/128では3回の測定値が8117~9114Kと最大約1000Kの差があり、1/256でも8641~9132Kと大きなばらつきが確認できました。
単純に「低出力ほど青くなる」だけではなく、極端な低出力域では発光ごとの色温度も不安定になる点には注意が必要です。
なぜ閃光時間を短くすると青くなるのか
閃光速度優先モードでは、IGBT制御によって発光を途中で打ち切ることで閃光時間を短くしています。
キセノン管の発光は、発光開始から終了まで完全に同じ色の光を出しているわけではありません。発光初期は比較的色温度が高く、発光後半になるにつれて色温度が低くなる傾向があります。
通常であれば発光後半の比較的赤みを含んだ光まで積算されますが、閃光速度優先モードでは発光を早い段階で打ち切ります。
そのため閃光時間を短くするほど、相対的に青い光の割合が増え、色温度が高くなります。
今回の測定では、それと同時にR9も低下しました。
- 1/1:約99
- 1/16:約95
- 1/32:約91
- 1/64:約83
- 1/128:約75
- 1/256:約74
発光後半を切り取ることで赤色成分の割合が相対的に減少し、CCTの上昇だけでなく、赤色の再現性を示すR9にも大きな変化が現れたと考えられます。
色温度だけであればRAW現像時のホワイトバランスである程度補正できますが、R9まで変化しているため、ホワイトバランスを合わせれば色再現も完全に同じになる、というわけではありません。
人物の肌や料理、赤系の商品など、色再現を重視する撮影では特に意識しておきたいポイントです。
どちらのモードを使うべきか
今回の結果を見る限り、2つのモードは用途によって明確に使い分けるのが良さそうです。
商品、料理、人物、複数灯を使用するなど、色再現を優先する撮影。
発光ごとの色温度が安定しており、Ra・R9も高い数値を維持しています。
水しぶき、液体、髪、衣服など、できるだけ動きを止めたい撮影。
特に低出力域ではt0.1で1/10000秒を超え、1/256では約1/23000秒という非常に短い閃光時間を実測しました。
ただし、低出力になるほど色温度と演色性の変化が大きくなるため、
「色を取るなら色温度安定モード、動きを止めるなら閃光速度優先モード」
と考えると分かりやすいと思います。
同じ1200WsのAD1200Proと比べると
以前、同じGodoxの1200Wsストロボ「AD1200Pro」についても、出力ごとの色温度・Ra・R9を測定しました。
AD1200Proはバッテリー式のジェネレータータイプで、屋外やロケでも1200Wsの大光量を使用できるのが大きな特徴です。
以前の実測では、通常モードでは1/1の5930Kから1/256の6428Kまで約500K色温度が変化しました。
一方、色温度安定モードでは1/1~1/128が5826~5919Kと93Kの範囲に収まり、Ra・R9についても高い数値を維持していました。
今回のQT1200IIIMも色温度安定モードでは安定した結果となりましたが、大きく異なるのが閃光時間です。
AD1200Proのメーカー公称値はt0.1で最短1/10860秒。対してQT1200IIIMの閃光速度優先モードでは、今回1/256で約1/23000秒を実測しました。
ただしQT1200IIIMでは、閃光時間を短くするほど色温度が上昇し、Ra・R9も低下します。
同じ1200Wsでも、
AD1200Proはバッテリー駆動による機動性を活かした大光量ストロボ、QT1200IIIMはAC電源を前提に、色の安定性と非常に短い閃光時間を撮影内容に応じて使い分けられるスタジオストロボ
という違いがあります。
AD1200Proについては、通常モードと色温度安定モードを1/1~1/256まで実測しています。
まとめ
QT1200IIIMを実測してみると、「色温度安定モード」と「閃光速度優先モード」は、かなり性格の異なる発光制御であることが分かりました。
色温度安定モードでは、発光ごとの色温度や演色性が安定しており、一方の閃光速度優先モードでは、色温度やR9の変化と引き換えに非常に短い閃光時間を得ることができます。
こうした色温度の変化はQT1200IIIM固有の欠点ではなく、IGBT制御によって発光を途中で打ち切る方式のストロボに見られる傾向です。今回のR9の低下も、発光後半をカットすることによるスペクトルバランスの変化が関係していると考えられます。
また、現在のACモノブロックストロボは400~600Wsクラスの選択肢が多く、1000Wsを超える大光量モデルはそれほど多くありません。
Profoto D2 1000やD3 1250、broncolor Siros 800 Sなども比較対象になりますが、QT1200IIIMは1200Wsの大光量と非常に短い閃光時間を、比較的導入しやすい価格で得られる点も魅力です。
一方で、リサイクルタイムについては注意が必要です。以前、日本のAC100V環境で確認した際には、フル発光からのチャージに約2秒かかりました。撮影テンポや連続撮影性能を重視する場合は、この点も考慮する必要があります。
色の安定性、閃光速度、大光量、そして導入コスト。すべてを同時に満たすストロボはなかなかありませんが、QT1200IIIMはそれぞれの特性を理解して使い分けることで、幅広い撮影に対応できるスタジオストロボだと思います。

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